NotebookLMとRAGの違いとは?初心者向けに徹底解説

NotebookLMとRAGの違いとは?初心者向けに徹底解説

SkillStack Lab 運営者のスタックです。

最近、AIを使って自分の持っている資料を解析したり、専門的な質問に答えさせたりする技術がすごく身近になってきましたよね。

特にGoogleが提供しているNotebookLMは、誰でも手軽に使えるツールとして非常に注目されています。一方で、エンジニアやIT担当者の間では、以前からRAGという仕組みがよく話題にのぼっていました。

この2つ、似ているようで実はその立ち位置や仕組みには大きな差があります。

これから導入を考えている方の中には、NotebookLMとRAGの違いがどこにあるのか、自分の用途にはどちらが最適なのか、といった疑問を抱えている方も多いかなと思います。

この記事では、NotebookLMの具体的な仕組みや、独自に構築するカスタムRAGの構成を比較しながら、それぞれのメリットやデメリットを深掘りしていきます。

また、実際に仕事で使う際に気になるNotebookLMの危険性やセキュリティ、さらに具体的なNotebookLMの活用事例についても詳しくお伝えします。

技術的な背景を知ることで、NotebookLMにできないこともしっかり把握できるはずです。これからAIを自分の「武器」にしていきたいと考えている皆さんの、ヒントになれば嬉しいです。

NotebookLMとRAGの仕組み、コスト、セキュリティの違いを徹底比較するスライドの表紙
この記事で分かること
  • NotebookLMとカスタムRAGの根本的な設計思想の差が分かります
  • コスト面や運用面でどちらが自分のプロジェクトに合うか判断できます
  • セキュリティリスクや企業導入時の注意点が整理できます
  • 具体的な活用シーンから最適な導入ステップをイメージできます
目次

NotebookLMとRAGの違いを技術的に比較

AIが「自分の知らない情報を外部から持ってくる」という点ではどちらも同じですが、その中身を紐解くと、全く異なるアプローチが見えてきます。まずは、この2つの技術的な背景を整理してみましょう。

完成されたSaaSとしてのNotebookLMと、システム構築のアーキテクチャとしてのRAGの定義と比較

Googleが提供するNotebookLMの仕組み

NotebookLMは、Googleが開発した「AIノートブック」という製品です。裏側では、最新のAIモデルであるGemini 1.5 Proがフル稼働しています。

私たちがPDFやテキストファイルをアップロードすると、AIがその内容を瞬時に自分の知識として取り込み、その範囲内だけで回答を生成するようになります。

これを「グラウンディング」と呼びますが、NotebookLMはこの作業を完全に自動化しているのが凄さの秘密です。

NotebookLMは、RAGに必要な「情報の分割(チャンキング)」「数値化(エンベディング)」「検索エンジン」といった複雑な要素をすべて内蔵した、オールインワンのSaaS型製品なんです。

私たちが普段使っているGeminiやChatGPTとの最大の違いは、AIが「一般的な知識」よりも「あなたが与えた資料」を優先して答えてくれる点にあります。

これによって、専門性の高い資料や、自分だけのメモに基づいた精度の高いやり取りが可能になっています。まさに「自分専用の知能」を数秒で手に入れられる感覚ですね。

データのアップロードから情報の分割、数値化、検索までを自動で行うNotebookLMのワークフロー図

独自構築が必要なRAGの構成とアーキテクチャ

対してRAG(Retrieval-Augmented Generation)は、特定のアプリを指すのではなく、システムを構築するための「手法」を指します。

NotebookLMが完成済みの便利なノートなら、RAGはパーツを組み合わせて作るオリジナルの書庫管理システムといったところでしょうか。

RAGを構築するには、以下のような複数のコンポーネントを連携させる必要があります。

構成要素役割の詳細代表的なツール例
データ抽出PDF、Word、Excelなどからテキスト情報を抜き出すLangChain, LlamaIndex
ベクトル化言葉の意味を数値(ベクトル)に変換し、検索可能にするOpenAI Embedding API, Google Gecko
ベクトルDB膨大な数値データを高速に検索・保存するためのデータベースPinecone, Chroma, Azure AI Search
LLM検索結果を読み込み、自然な日本語で回答を作成するGPT-4o, Claude 3.5, Gemini 1.5 Flash

このように、RAGは自分たちの要件に合わせて「どのAIモデルを使うか」「どのデータベースを使うか」を自由に選べます。

非常に高い自由度がありますが、その分、設計やメンテナンスには専門的な知識が必要になりますね。

テキスト抽出、ベクトル化、ベクトルDB、LLMを自社で選定・接続するRAGの構築フロー

音声や動画も解析可能なマルチモーダル対応

NotebookLMの100万トークン以上の理解力と直接マルチモーダル認識を、一般的なRAGの断片化処理と比較した図

NotebookLMが他のAIツールと一線を画しているポイントとして、「テキスト以外のデータ」をそのまま扱える能力が挙げられます。

これをマルチモーダル機能と呼びます。例えば、自分が録音した会議の音声データ(mp3など)をアップロードしたり、YouTubeのURLを登録したりするだけで、その内容についてAIと対話ができるんです。

ネイティブ・マルチモーダルの強み

通常のRAGで音声を扱おうとすると、一度文字起こしツールでテキストにしてから保存するというステップが必要になりますが、NotebookLMのベースとなっているGemini 1.5 Proは、音声や映像を「そのまま」理解する能力を持っています(出典:Google公式ブログ『Introducing Gemini 1.5』)。

そのため、声のトーンや映像の文脈を汲み取った高度な分析が期待できるというわけです。

圧倒的なGeminiのロングコンテキストの威力

ここで言う「コンテキスト」とは、AIが一度に脳内に広げておける情報の範囲のことです。

これまでのRAGでは、AIが一度に読める量に限界があったため、情報を小さな「チャンク(断片)」に細切れにして、関係ありそうな部分だけを拾い上げて読み込ませる手法が一般的でした。

しかし、NotebookLMが採用しているGemini 1.5 Proは、100万〜200万トークンという途方もない広さのコンテキストウィンドウを持っています。これにより、以下のような従来のRAGでは難しかった処理が可能になっています。

  • 数冊分の専門書の内容を、細切れにせず丸ごとAIの「記憶」に置く
  • 「第1章の伏線が第10章でどう回収されたか?」といった、全体を俯瞰した分析
  • 情報の断片化による文脈の読み飛ばしが非常に少ない

「全体を見通して答える」という点において、ロングコンテキストを活かしたNotebookLMは、従来のRAGよりも一歩先を行っている印象がありますね。

出典を明示する高精度なグラウンディング機能

AIがもっともらしい嘘をつく「ハルシネーション」は、ビジネスで使う上での大きな悩みですよね。NotebookLMは、このリスクを最小限に抑えるために「出典の提示」を徹底しています。

回答の文章の中に小さな数字(チップ)が表示され、それをクリックすると、元資料のどの部分を根拠にしたのかを左側の画面ですぐに確認できるんです。

この「検証のしやすさ」こそが、業務で使う上での最大の信頼に繋がります。

自分でRAGを組む際も出典表示を実装することは可能ですが、ここまでシームレスで直感的なUIを作り込むのはかなりの工数がかかります。

このUXが標準装備されているのは、さすがGoogleといったところかなと思います。

回答の根拠となるソースを提示し、クリック一つで原文の該当箇所へジャンプする検証画面の解説

検討時に役立つNotebookLMとRAGの違い

技術的な違いがわかったところで、次は「じゃあ、どっちを選べば幸せになれるの?」という実用面での違いを見ていきましょう。

実は、ここが一番重要な分かれ道になります。

連携不可などNotebookLMにできないこと

API連携不可、対顧客サービス不向き、大規模リアルタイム同期の欠如などNotebookLMの制限事項

NotebookLMは非常に優秀ですが、あくまで「個人のノートブック」や「チームでの共有ツール」としての枠を出ません。

現時点(2025〜2026年時点)ではAPIが公開されていないため、他のシステムと連携させることができないんです。

NotebookLMで実現できない主なケース

  • 自社のウェブサイトに設置する「お客様対応チャットボット」への利用
  • SlackやLINEと連携して、社内データを自動で回答する仕組みの構築
  • 何万件もの膨大なドキュメントをリアルタイムで同期・検索する大規模システム
  • 独自の検索アルゴリズムを導入して、回答の精度を極限までチューニングすること

もし、自分の会社のサービスの一部としてAI検索機能を組み込みたいなら、NotebookLMではなく、カスタムRAGを選択するしかありません。

目的が「自分の生産性向上」なのか「プロダクトの開発」なのかによって、選ぶべき道は自ずと決まってきます。

無料版のNotebookLMの危険性と企業利用

NotebookLMには無料版がありますが、仕事で使う際にはセキュリティ面をしっかり確認しておく必要があります。一般向けの無料サービスの場合、入力したデータがAIの学習に利用される可能性がゼロではありません。

これを「NotebookLMの危険性」として警戒する声もあります。

企業秘密や顧客情報を扱う場合は、必ずGoogle Workspaceの企業向けプランを通じて利用するようにしてください。

企業向けのライセンスであれば、データがAIモデルのトレーニングに使用されないことが明言されているので、ガバナンスの観点からも安心です。

利用を開始する前に、自社のシステム管理者やセキュリティ担当者に確認を取るのが一番確実ですね。

開発費やトークン料金を含めたトータルコスト

コスト面での比較も、意思決定には欠かせません。NotebookLMとRAGでは、費用の発生の仕方が全く異なります。

特にカスタムRAGは「見えないコスト」が多いため、注意が必要です。

NotebookLMとRAGのコスト構造(固定対変動)とセキュリティリスク(Google Workspace版の必要性等)の比較
項目NotebookLMカスタムRAG
初期開発費用0円(即日利用可能)数百万円〜(開発工数による)
月額・運用費用定額(ライセンス料)従量課金(API+インフラ維持費)
メンテナンスGoogleがすべて実施自社のエンジニアによる継続的な改善が必要

小規模なプロジェクトや、まずはAIの効果を試してみたいという段階であれば、NotebookLMのコストパフォーマンスは圧倒的です。

一方で、非常に大規模なアクセスがある場合は、安価なオープンソースのLLMを使ってRAGを組む方が、長期的には安くなる可能性もあります。

しかし、その「開発・運用の人件費」を考慮すると、多くの場合はNotebookLMの方が手軽で経済的だと言えそうです。

議事録要約や資料分析など具体的な活用事例

「SkillStack Lab」でも以前から紹介していますが、AIツールは具体的な使い道があってこそ輝きます。

NotebookLMを使いこなすためのアイデアをいくつか挙げてみますね。

明日から使えるNotebookLMの活用パターン

  • 特許資料や法的文書の解読:難解な文章を読み込ませて、「リスクはどこにあるか?」を問いかける。
  • プロジェクトの全資料を統合:仕様書、メール、進捗管理表を全部入れて、矛盾がないかチェックさせる。
  • ポッドキャスト生成(Audio Overviews):自分の資料を二人のAIが解説する音声に変換し、移動中に「耳で」復習する。
  • ブログ記事の構成案作成:過去の自分の記事をソースとして入れ、自分のトーンを維持したまま新しい構成を提案させる。

特に「Audio Overviews」はNotebookLM独自の神機能ですね。自分の書いた長文のレポートを、ラジオ番組のように二人のAIが楽しく喋ってくれるので、内容の理解度が劇的に上がります。

これはカスタムRAGで実装しようとすると非常に難易度が高いので、これだけでも使う価値があるかなと思います。

法的文書分析、プロジェクト管理、音声学習、執筆支援といったNotebookLMの4つの活用事例

まとめ:NotebookLMとRAGの違いの結論

NotebookLMを選ぶべき人とRAGを選ぶべき人の基準、および推奨される導入ステップのまとめ

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。NotebookLMとRAGの違い、少しずつスッキリしてきたでしょうか?最後にスタックとしての結論をまとめておきますね。

結局のところ、「手軽に今すぐAIの恩恵を受けたい」ならNotebookLM、「自分たちのシステムとして作り込みたい」ならRAG、という住み分けになります。

私自身、まずはNotebookLMで資料の整理やアイデア出しを行い、その効果を実感してから、必要に応じて本格的なシステムの検討を始めるのが、一番リスクが低くてスマートなやり方だと感じています。

今の時代、AIはもはや特別なものではなく、私たちの思考をブーストしてくれる「強力な文房具」です。まずは難しく考えず、NotebookLMに資料を一つアップロードすることから始めてみてはいかがでしょうか?

なお、この記事で紹介した内容はあくまで一般的な技術比較であり、サービスの利用規約やセキュリティ要件は変更されることがあります。

実際の業務導入に際しては、必ずGoogle公式の最新情報を確認し、自社のセキュリティポリシーに沿った判断を行ってくださいね。

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