SkillStack Lab運営者のスタックです。
月の残業が40時間前後まで増えてくると、「これくらいでつらいのは甘えなのか」「45時間を超えていないなら普通なのか」「もう会社を辞めた方がよいのか」と迷うことがあります。
結論から言うと、残業40時間だから直ちに違法というわけではありませんが、毎月続く状態を「普通だから我慢すればよい」と考える必要もありません。
一般的な時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間です。
1か月の勤務日を20日とすれば、残業40時間は平均して毎日約2時間。これが12か月続けば単純計算で480時間になります。
さらに、法律上問題がない範囲であっても、帰宅時間、睡眠、家庭生活、休日の回復状況によって負担の大きさは変わります。
この記事では、現役の管理部門長・元情シスの視点から、残業40時間をどう判断すればよいのか、固定残業代では何を確認すべきか、つらいときにどの順番で行動すればよいのかを整理します。
本記事は2026年8月14日時点の厚生労働省等の公開情報を確認して作成しています。労働時間制度や健康状態は個別事情によって判断が異なります。労務上の判断は労働基準監督署・専門家等へ、心身の不調については医療機関へ相談してください。
- 残業40時間:1か月だけで直ちに違法とは限らない
- 一般的な上限:時間外労働は原則月45時間・年360時間
- 毎月40時間:単純計算では年480時間になるため年間上限も確認する
- 固定残業代:制度そのものではなく、金額・対象時間・超過分の支払いを確認する
- 体調に異変がある:業務効率化や転職活動より休養・相談を優先する
- 定型作業が残業原因:体調と時間に余裕があればExcel・Power Query・Pythonなどの自動化も検討する
残業40時間はきつい?甘えと考える必要はない
残業への感じ方には個人差があります。
同じ40時間でも、通勤時間、仕事内容、夜勤の有無、育児や介護、睡眠時間、仕事の裁量などによって負担は大きく変わります。
そのため、「同僚は平気そうだから自分も耐えるべき」「40時間程度できついのは弱い」と比較する必要はありません。
一般的な時間外労働の上限は月45時間・年360時間
労働基準法では、原則として1日8時間・週40時間が法定労働時間です。
法定労働時間を超えて働かせる場合には36協定が必要で、一般的な時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間です。
臨時的な特別の事情があり、特別条項付き36協定を締結している場合でも、一般的な業種では年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計が単月100時間未満、2~6か月平均80時間以内などの上限があります。
また、月45時間を超えられるのは原則として年6か月までです。
毎月40時間なら年間では480時間になる
ここは見落としやすいポイントです。
月40時間なら月45時間という原則上限を下回っています。
しかし、それが毎月続けば、40時間×12か月で年間480時間です。
すべてが法定時間外労働に該当する前提なら、一般的な年間上限360時間を超えるため、「毎月45時間未満だから問題ない」と月単位だけで判断することはできません。
残業時間を見るときは「今月何時間か」だけでなく、直近数か月と年間累計も確認してください。
残業40時間は毎日約2時間の残業
1か月の勤務日を20日とすると、残業40時間は1日平均約2時間です。

| 時間帯 | 例 |
|---|---|
| 7:00 | 起床・身支度 |
| 8:00~9:00 | 通勤 |
| 9:00~18:00 | 勤務・休憩 |
| 18:00~20:00 | 残業2時間 |
| 20:00~21:00 | 帰宅 |
| 21:00以降 | 夕食・入浴・家事・自由時間 |
もちろん通勤時間や始業時刻は人によって異なります。
それでも、毎日2時間会社に残れば、家族との時間、運動、趣味、学習、睡眠などに使える時間が減ることは避けられません。
育児や介護など家庭での役割がある場合は、さらに両立が難しくなることがあります。
残業40時間で確認したい健康面のサイン
「40時間を超えたら病気になる」「40時間未満なら安全」という境界線があるわけではありません。
厚生労働省系の「こころの耳」では、時間外・休日労働が月45時間を超えて長くなるほど健康障害のリスクが高まると案内されています。
40時間という数字だけを見るのではなく、長時間労働が何か月続いているか、十分に眠れているか、休日に疲労が回復しているか、仕事以外の時間にも不調が続いていないかを確認してください。

- 眠りにくい、途中で何度も目が覚める
- 朝起きることが以前より極端につらい
- 食欲や体調の変化が続いている
- 休日も疲労が抜けない
- 仕事のことを考えると強い不安を感じる
- 集中できず、これまでしなかったミスが増えた
- 気分の落ち込みなどが続いている
こうした変化が続いている場合は、残業時間の数字だけで自己判断せず、医療機関や産業医などへ相談してください。
厚生労働省の「こころの耳」では、働く人向けのセルフケア情報、相談窓口、医療機関検索などが案内されています。
すでに心身の調子を崩している場合は、「休日に資格を取る」「Pythonを勉強して仕事を効率化する」といった自己改善を最優先にしないでください。まず休養や医療・職場への相談を優先します。
固定残業代40時間だから残業代が出ない?
残業40時間と一緒に検索されやすいのが「固定残業代」「みなし残業」です。
固定残業代は、一定時間分の時間外労働等に対する割増賃金を、実際の残業時間にかかわらず定額で支給する仕組みです。
固定残業代という制度そのものが違法なわけではありません。
確認したいのは次の点です。
- 基本給と固定残業代が区別されているか
- 固定残業代はいくらか
- 何時間分として設定されているか
- 固定時間を超えた残業分が追加支給されるか
- 実際の割増賃金額に不足がないか
例えば固定残業代が40時間分として適切に設定されている場合、実際の残業がその範囲内なら給与が追加で増えないことは制度上あり得ます。
一方、固定残業時間を超えた分や、法定どおり計算した割増賃金に不足する部分については追加支給が必要です。
「固定残業代40時間分がある=会社は毎月40時間残業させてよい」という意味ではありません。固定残業代の時間数と、36協定による時間外労働の上限は別に確認する必要があります。
残業40時間が続くときにやること
残業がつらいと感じたときは、いきなり退職か我慢かの二択にする必要はありません。
次の順番で状況を整理します。
1.実際の労働時間を記録する
まず、自分が何時間働いているのかを確認します。
- 勤怠システム・タイムカード
- PCのログイン・ログアウト記録
- 業務メールやチャットの時刻
- 給与明細
- 雇用契約書・労働条件通知書
会社の勤怠画面に表示される残業時間と、自分が実際に働いた時間に差がないかも確認してください。
2.残業の原因を3種類に分ける
| 原因 | 例 | 主な対策 |
|---|---|---|
| 業務量 | 人手不足、担当範囲が広すぎる | 業務削減・増員・優先順位変更 |
| 業務設計 | 二重入力、Excel転記、紙処理 | 標準化・システム化・自動化 |
| 職場環境 | 帰りにくい風土、無理な納期、ハラスメント | 上司・人事への相談、異動・転職等 |
原因によって解決策はまったく異なります。
人員が足りないのに、個人がExcelマクロを作って解決しようとしても限界があります。
3.上司や人事には数字で相談する
「忙しくてつらい」だけでなく、業務量をできるだけ数字にすると相談しやすくなります。
- 直近3~6か月の残業時間
- 特に時間がかかっている作業
- 毎月繰り返している作業時間
- 削減・延期できる仕事
- 他の担当者へ移管できる仕事
- 自動化できそうな定型作業
4.改善しないなら異動・休職・転職も選択肢にする
相談しても慢性的な長時間労働が改善しない場合は、現在の部署に残り続けることだけが選択肢ではありません。
社内異動、休職、転職なども含めて、自分の健康と生活を維持できる環境を探します。
特定の一人が40時間以上残業し続けなければ仕事が回らないのであれば、本人の努力だけではなく、要員配置や業務設計を見直す必要があります。

5.法令や残業代に疑問があれば外部へ相談する
未払い残業、実際の勤務時間と勤怠記録の差、36協定などに疑問がある場合は、自分だけで法律判断をする必要はありません。
厚生労働省の「確かめよう労働条件」相談窓口案内から、労働基準監督署、総合労働相談コーナー、労働条件に関する相談先を確認できます。
業務自動化で残業を減らせるケース
残業の原因が定型的な事務作業で、かつ心身と時間に余裕があるなら、自動化は有効な選択肢です。
ただし、最初からPythonありきで考える必要はありません。
| 作業 | 最初に検討したい方法 |
|---|---|
| Excel内の計算・集計 | 関数・ピボットテーブル |
| 毎月届くCSVの結合・整形 | Power Query |
| Excel内の繰り返し操作 | VBA・Office Scriptsなど |
| 複数ファイルの一括処理 | Pythonも候補 |
| 複数システムをまたぐ定型操作 | RPA・Power Automateなど |
例えば毎月複数のCSVをコピーして1つの表にまとめているだけなら、Pythonを何か月も学ぶ前にPower Queryで解決できる可能性があります。
具体的な方法は、Power Queryで毎月のCSV・Excel集計を自動化する方法で解説しています。
Pythonが向いているのは複雑な処理まで自動化したい場合
複数ファイルの処理、CSVの加工、ファイル操作、APIを使ったデータ取得など、Excelの外まで自動化したい場合はPythonが候補になります。
ただし、Pythonを学べば必ず残業40時間がなくなるわけではありません。
人手不足、過剰な業務量、無理な納期、職場の文化が原因なら、個人のプログラミングスキルだけでは解決できないからです。
業務自動化は「会社の構造的な問題を我慢するための道具」ではありません。自分で改善できる定型作業にだけ使い、業務量や職場環境の問題は別に解決することが大切です。
体調に問題がなく、まず小さな自動化を試したい方は、UdemyでPython初心者向け講座を選ぶ方法も参考にしてください。
残業40時間に関するよくある質問
残業40時間は違法ですか?
40時間という数字だけで直ちに違法とは判断できません。
一般的な時間外労働の上限は原則月45時間・年360時間で、36協定の有無や年間累計、特別条項、業種・労働時間制度なども確認する必要があります。
残業40時間は毎日何時間ですか?
月20日勤務なら、40時間÷20日で1日平均約2時間です。
実際には繁忙日へ集中することもあるため、日ごとの記録も確認してください。
毎月40時間残業しても45時間未満なら問題ありませんか?
月単位だけでは判断できません。
毎月40時間なら年間480時間になるため、すべてが法定時間外労働に該当する場合は、一般的な年360時間という原則上限も確認する必要があります。
固定残業代40時間なら40時間まで残業代は出ませんか?
固定残業代が適切に設定され、その範囲内の割増賃金をすでに定額で支給している場合、実際の残業が固定時間内なら追加支給が発生しないことはあります。
ただし、固定残業時間を超えた分や法定額に不足する分は追加で支払う必要があります。
残業40時間できついのは甘えですか?
労働時間への負担は、仕事内容、通勤、睡眠、家庭環境、健康状態などによって異なるため、他人と比較して判断する必要はありません。
特に長時間労働が続き、睡眠や体調へ影響が出ている場合は、残業時間の数字だけでなく健康状態を優先してください。
残業40時間で辞めたいなら転職すべきですか?
残業時間だけで即断する必要はありません。
まず残業の原因、今後改善する見込み、給与、仕事内容、健康への影響などを整理します。
業務量を相談しても改善せず、慢性的な長時間労働によって生活や健康を維持できない場合は、異動・休職・転職を含めて環境を変えることも現実的な選択肢です。
まとめ|残業40時間は月だけでなく年間・健康・原因を見る
残業40時間は、数字だけを見て「違法」「普通」「甘え」と一言で判断できるものではありません。
- 一般的な時間外労働の上限は原則月45時間・年360時間
- 月40時間が毎月続けば単純計算で年480時間
- 固定残業代があっても超過分などの確認は必要
- 長時間労働が続くほど健康面にも注意する
- 体調に異変があれば業務改善や学習より休養・相談を優先する
- 定型作業が原因ならPower QueryやPythonなどの自動化も検討する
- 業務量や職場環境が原因なら個人の効率化だけで抱え込まない
大切なのは「40時間なら耐えられるか」ではなく、この働き方を数か月・数年続けても健康と生活を維持できるかです。
まず直近数か月の労働時間と残業の原因を書き出し、自分で減らせる作業と、会社側で解決すべき問題を分けてみてください。
法令や残業代に疑問がある場合は厚生労働省の労働相談窓口案内、心身の不調が続く場合は働く人のメンタルヘルス・ポータル「こころの耳」なども活用してください。
